さて、前回はテスト用に制作した
16センチフルレンジスピーカーを
簡易デバイダとアンプ2台込で
家族用に供与したところまで書いた
そのセットについては、私はすごくいい音だと思って
通りすがりにもついうっとりと聴き惚れていたりするのだが、
家族の方たちは「然程の感慨もなし」といった
風情である。ま、これは予想していたことであるし、
マニアとそうでない方のまともな境界線ということで
にっこり笑ってやり過ごしている。
前の音よりはずっと良いのは明白なので
私だけがほくそ笑んでいればよいのである!
本題に入る
テクニクスが(パナソニック、松下とも言う、のオーディオ部門
一時活動を停止していたが最近復活した)が嘗て
オーディオブーム華やかりし頃に
「平面振動板」というものを開発し
スピーカーを制作していたことが有った。
音楽メディアがレコードからCDにチェンジしそうだという頃で
調べてみるとソニーや日立(ローディー)なども
平面型スピーカーを出していたようであるが
特に熱心だったのはテクニクスとソニーであったらしく
今でも一部で熱烈な愛好者がいらっしゃる模様だ。
その平面振動板のスピーカーユニットを某オークションで入手できたので
簡単にアンプに繋いで裸の状態で鳴らしてみたところ、
ヴァイオリンの音色の再現性が中々高いと感じた。
visatonのフルレンジは声の再生は絶品だったが
ヴァイオリンについてはほんの僅か不満があったのだ。
それでは、このユニットを使って自室の音楽制作用の
モニタースピーカー(adam A7の代わりである)に出来ないかと
思いついたので、実行に移してみた。
前回のBIG17の時は「密閉型」のエンクロージャーを作ったし
未だこのブログでは紹介していないが
14センチフルレンジを使った別のバスレフの箱も昔作って今も使用している。
同じものを作っても面白くないので
今回は一部で絶大な人気があるバックロードホーン型を作ってみようと決断した。
バックロードホーンというと嘗てのオーディ評論家のカリスマ、
長岡鉄男氏が設計した一群がとても有名だ。
「スワン」「D55」などその筋のマニアであれば聞き覚えがあることと思う。
私は実は大の長岡ファンだったのだが、なぜかスピーカーは作る機会がなかった。
作る時は自分で設計したいタイプなのかも知れない。
という訳で、大まかな設計はバックロードホーンにした。
一般に自作のバックロードホーン型スピーカーというと、
「フルレンジ+ツィーター」しかもコンデンサーをツィーターに入れて
高域をほんの少し補強するタイプが多いと思うが、
今回はチャンデバ+マルチアンプのミッドレンジ部分だけを
このユニットに任せることになる。
実のところ、理屈だけで考えるなら、ミッドレンジの再生であれば
バックロードホーンやバスレフである必要は無い。
なぜなら、それらの仕組みは200Hz以下の低音を
エンクロージャーの力で補強する仕組みだからである。
今回は200Hzより下はチャンデバで別のアンプとスピーカーで鳴らすので
バックロードにする必要は全く無い。
では、どうして敢えてこの形式にしたのか?
密閉の前作を作ったときに、録音はしていないが後面開放にして
(裏蓋を取り払った状態にして)鳴らしてみたことが有った。
音の雰囲気は悪くないのだが、癖があまりにも強く
シビアな聞き込みに使うには心もとなかった。
密閉の箱を使う時も、音の質は大いに良かったが
吸音材を大量に使わないとやはり癖が残ったので
そのアラを消すのと引き換えに音の勢いを失ったと思えた。
また「ユニットの背圧」というキーワードがどこかで気になっていた。
バスレフや密閉では低音を鳴らすために低域を稼ぐために
ユニットに負荷がかかると言った意味であろうが、
それからも自由な設計としたかった。
音道を1メートル以上稼ぐために板材も多くなるので
完成質量も大きくなるのので、音の瞬発力も期待できるし、
後ろ半分に音響迷路を追加しているので、
前後の重量バランスも良化が望めるだろう。
バスレフや密閉ではユニットが重いので
フロントヘビーになるのは避けがたい。
それを補うべく前回の密閉箱では
後ろの内部に鉛の重りを接着してバランスをとってみたのだが、
それを今回は板材で後ろ半分を重くしているのだ。
これが今回使ったのと同じ大きさのユニットと
(実はこれは別のスピーカーだ。写真を取り忘れたとも言う)
それに付いてきたバックキャビティのプラスチックの写真。
この大きさでは低音はかなりカットされるので、
製品では低い方は800hzでカットされる設計だったようだ。
このユニットをバックロード型の箱に入れ、
200hzくらいまで受け持ってもらおうという狙いだ。
ホームセンターで板材を購入してカットまで頼んだ。
前回は「穴あけは自分でやらないほうが良い」と力説していたが
今回も穴あけは自分で行うことになった・・しょぼんぬ。
厚い板を使うのは止めて(フロントバッフルだけね)
シナ合板の4mm厚のものにサークルカッターで穴を前後から開けてくり抜き
その板を4枚木工用ボンドで張り合わせてバッフル版とした。
本体は12mm厚の普通のコンパネを使用した。
今回は余り写真を撮る気になれなかったので
制作過程についてはかなり省略して紹介する。
ネタに困ったら投稿するかもだが・・
これが完成直前の側面の写真。
開口部は後面下部になる。
折返しから裏板にドンする辺りまではホーンタイプの形状で
それ以降は変形の音響迷路というイメージで制作した。
吸音材をゼロで使う予定だったので空気室の部分は
平行面を避けているのもご覧になれるだろう。
後半の迷路風の部分は真ん中あたりが少し狭くなっているのが
お分かりになるだろうか?
音道の長さは1メートル少々。低音はウーファーが受け持つので
100Hzくらいまで出れば良いから、余り長い音道である必要はないと判断。
一度絞ってからもう一度広く設計したのは
一定の幅であると共鳴周波数のピークが強く出るのではないかと思ったので。
実際に効果があるかどうかは不明。
解明するにはその場所だけ変更したものをもう一つ作って
試聴しないとわからない。
そこまでやる元気は無いです、ハイ・・
空気室がどうとか、カットオフ周波数がどうとか
今回全く計算しないで制作した。
低音の再生は捨てているからである。
フロントバッフルからの写真
そしてこれが実際に設置しているところ。
ツィーターは昔買ったスピーカーの
ツィーターの部分を取り出して再利用した。
鉛の延べ棒が乗っかているのは長岡教徒の名残である。
ターミナルは今回は前回とは違うタイプのものを
側面と上面に使用
アンプはこちら(6000円ほどのデジタルアンプ)と
こちら (3000円ほどのアナログアンプ)
どちらもそれなりに評価の高いものであるであるようだが
今回は詳しくは説明しない。
家族に供与したものと価格も然程違わないし、
音も大きな差ではないと感じた。
あまりに違っていると問題なので
家族に渡す前に聴き比べたけどアンプの差より
アナログチャンデバとデジタルチャンデバの音質の差のほうが
ずっと大きかった。
ウーファーについては主に部屋の広さの問題から
今回は「A-7」をそのままウーハーとして使うことにした。
いずれは自作の20センチバスレフにする計画もあるが、
しばらくはこの組み合わせで鳴らすことにした。
チャンデバはdbx DraiveRackPA2で変っていない
今日はここまで