16センチフルレンジで音楽を聞いてみよう(制作編)

今回は「制作編」です。
工作の難易度についてては
一言でいうと「簡単」です。
但し「穴あけさえできるならば」です。
穴さえ開けられて箱の部品が揃えば、
あとは小学生の夏休みの宿題レベルの難易度と思います。

前回の記事で「穴あけ」は別の機会にと書きました。
今まで創ったスピーカー達の穴あけに活躍してくれたのはコチラ

自在鋸の一種で木材でも金属でも好きな方向にカットできるというスグレモノです
ただ、今回は勝手が違いました。
「nonjasコンパネ」が、ものスゴーク硬いのです!
私が大病の後で以前より力が衰えているのを差し引いても
穴あけがはかどらないことおびただしい。
手始めに変形補強板のカットを試みてみましたが
スピーカーの後部の切り欠きの細工をするだけで
1時間ほど掛かってしましまた。
同様に真ん中の穴あけも1時間ほど費やすことになります。
当然、体は悲鳴を上げてきます。

ここで、私は方針を変えます
そう、文明の利器を、電動器具を使うのです。
まずは「充電式ドリル」
どう使うかというと極めて原始的に
マシンガンで壁抜きをするがごとく(やったことないけどw)
くり抜く場所のライン上ををすべてドリルで穴を開けていき
残ったバリの部分はカッターで切り取り強引に穴を開けてしまおうという方法。

でもね、充電式だと5つぐらい穴開けるごとにエネルギー切れで
再充電に2時間位掛かってしまう(眼の前が暗くなりましたぜ)
これも板質が硬いせいだと思う。

で、押し入れの奥の方に眠っていた電動ドリル(充電式でないやつ)
コイツでゴリゴリと穴を開けていくのです。

方針が決まれば後は黙々と穴を開け続けるのみ。
もう片方の変形補強板の穴あけ
フロントバッフルのフルレンジの穴あけとツィーターの穴あけが2枚
それから後ろの板のターミナルの穴あけ、これも2枚。
当然ながら周囲は、おが屑だらけになりました。

これがくり抜いたものじゃあ!

でも、これで穴あけは終わりじゃあありません!
いびつにゴツゴツした状態で、まだパーツとして使えない状態。

ここで使ったのが彫刻刀!

地味に、全く地味そのものにまん丸や直線になるように
力技で削っていきます。

大抵の方はこんな作業、とてもじゃないができないと思います。
ええ「ア○」の私だからできることですわ、トホホホ・・

努力の跡がしのばれるでせう

悪いことは言いません、制作される方はホームセンターで「穴あけ」頼みましょう。
そうすればこれからの組立作業にすぐに取り掛かれます。
時はかねなり。穴あけ作業に1週間近くかかりましたぜ。
良い子の皆さんは下調べして「穴あけのできるホームセンター」で
材料調達ついでにカットしてもらってくださいね。

使用前、使用後

さあ、後の作業は普通の工作です。
木工用ボンドで一つづつ丁寧に作業していきます。
初めて作られる方は、パーツを予め組み合わせてイメージを持ってからがオススメです。
接着してからでは修正ができませんから。

まずは側板に補強板をくっつけます。
板の位置は上から補強板までが150としました。
板の下から底板までは140少々ですので、完全な対称にはなっていません。
バッフル板のフルレンジの取付けの中心も同じ位置にしています。
ツィーター付けないならもう少し上でもいいと思います。
補強板はT字型の部品を作って使っても同じような効果が望めます。

こんな感じで付く

奥行きは裏板との関係で変化しますので、ご自分で計算してください。
実は補強板なしでも多分大差ない音が出ると思いますが、
側板が振動しやすい構造ですので(一番大きな部品なので)
念の為に補強板を使っています。
後、補強板なりT字型なり使ったほうが
「直角」が出しやすく、組み立てが容易になるというのもポイントです。

ボンドは片面だけに少し多めに塗って、
慎重に位置決めをして接着。
前側にバッフル板が付くので、ツライチになるように気をつけます。
はみ出た分はティッシュで拭き取ります。
器具を使って圧着する場合は「じわじわと圧力をかける」ことです。
今回は器具を使わず「重し」や「手」で圧着しました。
1時間ほどすると。ほぼ固まってきますので、次の場所を付けていきます。

次にフロントバッフルの取付けです。

次いで底板を付けていきます。

次はもう片方の側板です。糊付けの場所が多いので一番神経を使うところです。

上板の取付けです。


かなりスピーカーの箱になってきましたね。
実はこのままでもスピーカーとして使えます。
「後面開放型」というタイプのエンクロージャーで、一部でファンもいます。
市販品ではありえない形ですので(後ろに穴が空いていたのでは売れない)自作ならではの世界です。
スピーカーは前にも後ろにも音を出しますが、
密閉型は前の音だけを聞かせる設計
バスレフ型は低音の一部だけ後ろの音も活かす設計
バックロード型は後ろの音をホーンで積極的に使う設計
後面開放型は自然な形で後ろのからの音も活かす設計です。
ライブっぽい音となりますのでで、シビアな音が身上の密閉型とは真逆の性格と言えます。
今回裏板が取り外せるようにしたのは、完成後に調整をやりやすくするためもありますが
外すと「後面開放」に早変わりできるからです。
いずれ「空気録音」でお聞かせします。

板材のカットをお願いするときに
「15mm幅」で端材をカットしておいてもらうと何かと便利です。
バッフル版の補強も

上板の補強も

裏板のネジ止めのための落とし込みの板も

この15mm幅の材料で作りました。
彫刻刀を駆使して現物合わせで細工しましたよ。
(穴開けよりは簡単でした)

ニスとか突板とかで外観を仕上げたい方は
ここでそういう作業をなさると良いでしょう。
塗装する場合は下地処理したり、紙やすりかけたりしてからですね。
音も良くなるという話ですが、今回は気軽に作れるものを目指しているので
コルクのシート(1mm圧)をバッフル面と上板に貼り付けて仕上げとしました。
コルクシートはスピーカーユニットと箱の間の「パッキン」の目的も持たせています。
バッフル面は特に音に影響が強いので、何らかの処置をするほうが良いと思います。
突板かコルクシートくらいが簡単と思います。壁紙とかでも使えるかも知れません。
板材とは別の物性が響きをマイルドにするらしいので、素材はお好みでも良いでしょう。
こだわる方は無垢のマホガニーとかメイプルとか使いますが、そこまでしなくても
そこそこの音は聞けるだろうというのが今回の狙いです。

気密性を高めるためにホームセンターで調達した
両面テープ付きの厚さ3mmのゴム、幅30mm長さ1メートルを
半分の幅にカットして裏板が接触する場所に貼り付け

ネジ止めする場所を決めて電動ドリルで裏板と一緒に穴あけ
この時点でスピーカーに右と左を書いておくと作業しやすいと思います。
(きっちり位置決めしなくてもネジ止めできるので)

箱があらかた出来上がったら次は
ユニットに内部配線をハンダ付け。
プラスマイナスがありますので、あとで解るように覚えておきましょう。
私は色のついたほうをプラス、白色の方をマイナスにしておきました。
ハンダ付けでなくても端子でもいいと思いますが
私はハンダ付けが好き。
線材もハンダもホムセンで売ってる一般的なものですヨ。

いよいよユニットの装着

位置決めをしてから穴あけの場所をマーキングして
ここだけはドリル使わず手動のキリで穴あけ
ドリルでも悪くはないですが、キリのほうが穴が小さくなるので
取付けのネジが固くなってしっかり取付けられる(と思う)

今回のグリルはスピーカーの取り付け穴と同じところに穴が空いていたので
少し長めのネジを使って取付けています。

ターミナルを裏板に付けてから

コチラもハンダ付け。
順番間違えるとハンダの吸い取りが必要になりますので慎重に。
ターミナルを裏板に組立ててからハンダ付けですよ。
それからお好みで吸音材を押し込んで入れます。

吸音材は音の好みによっては少なめでも良いと思います。
私はシビアな音が好きですので、たっぷり入れたほうが好きでした。
入れてない音は派手なんですが、一定の周波数できつく感じました。
片方にサーモウールひと袋入れています。
余らせても使いみちが無いというのもありますw

裏板を本体にネジ止めして、いよいよ完成です!
(左右で1セットがスピーカーですので、2つ作るのですよ、念の為)

スマホやパソコンからの音声出力をそのままでは音が出ませんので
「アンプ」に通して信号を増幅してから、それを後側に取付けた
ターミナルに結線してください。
やはり、プラスマイナスに気をつけて
アンプからのプラスが端子のプラスにつながるようにしてください。

アンプは高額である必要はありません。今回のは5000円程でした。
但し「トーンコントロール」が付いているものが良いです。
これはマストです。
密閉だと低音が豊かではありませんので、それを補うためです。
スマホやPCの中でEQかけても、そこそこ聞けると思いますが、
アンプに付いている方が断然使いやすいです。
付いてないアンプも結構多くてこの辺も
「密閉型スピーカーが絶滅寸前」の理由の一つなんだろうなあ。

後は音楽を楽しむだけです。
私の環境ではマイモニタースピーカー(Adam A-7)よりも
音楽はずっと聞きやすかったですよ。
特に「歌」は10倍くらい良いです。
レンジは(特に4つ打ちのビート)狭いですが(だってフルレンジだもの)
細かいニュアンスは別の曲ってくらい優れています。
この辺の「どうして?」は、別記事にしたいです。

ああ、今日も長文になっちゃった・・

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